太陽光発電設備の負荷遮断試験とは?測定方法や判定基準などを解説

出力10kW以上2,000kW未満の太陽光発電設備は、稼働させる前に「使用前自己確認」の実施が義務付けられています。その電気試験項目のひとつが「負荷遮断試験」です。この記事では、負荷遮断試験とは何か、どう測定するのか、何をもって合格とするのかを、わかりやすく解説します。

記事の目次

負荷遮断試験とは?

太陽光発電設備の負荷遮断試験を実施している様子

負荷遮断試験とは、発電中の太陽光発電設備を意図的に系統から切り離し、そのときに設備が安全に停止できるかを確認する試験です。

系統側の事故や停電で、発電中に急に電気の行き場がなくなることがあります。このとき設備には過電圧が発生し、故障や火災につながるおそれがあります。だからこそ設備には「異常を検知したら速やかに発電を止める」機能が備わっており、それが正しく働くかを運転開始前に確かめておく必要があります。

その確認作業が、負荷遮断試験です。

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測定方法:1/4の出力から段階的に試す

いきなり全出力で遮断するのではなく、低い出力から少しずつ上げながら、遮断を繰り返します。具体的には、設備出力の1/4の状態で遮断し、異常がなければ2/4、3/4、4/4(全出力)へと進めます。

遮断した瞬間に発電電圧がどう変化したかは、過渡変化を記録できる測定機器で確認します。目視で「止まったから大丈夫」ではなく、データとして残すことが求められます。

なお太陽光の出力は日射量で決まるため、3/4〜4/4の試験は必要な出力が出る天気にならないと実施できないことがあります。試験日程が天候に左右されやすいのは、この試験ならではの特徴です。

判定基準は2つ

経済産業省の「使用前自主検査及び使用前自己確認の方法の解釈」では、合格の条件を次のように定めています。

  • 遮断した瞬間の電圧の変動が、制限値の範囲内に収まること
  • 設備が安全に、決められた状態へ移行することリスト

かんたんに言えば、「遮断の瞬間に電圧が暴れないこと」と「設備がきちんと安全な状態で止まること」の2点です。

負荷遮断時の発電電圧の過渡変化を示したグラフ。合格例は制限値内に収束し規定の状態へ移行、不合格例は制限値を超過

制限値はパワーコンディショナーなど機器の仕様によって決まります。試験の前にメーカーの仕様書・試験成績書を確認しておきましょう。

現地試験を省略できる条件は、設備の区分で違う

一定の条件を満たせば、現地での試験を書類による確認で代えられます。ただしその条件は、設備の区分によって異なります。ここは間違えやすいポイントです。

小規模事業用電気工作物と自家用電気工作物の区分別に、負荷遮断試験の現地試験を省略できる条件を整理したマトリクス図

小規模事業用電気工作物(原則10kW以上50kW未満)の場合

  • 逆変換装置(パワーコンディショナー)が判定基準に適合することを示す第三者認証を取得している場合は、その範囲で試験を省略できる
  • 天候などで必要な出力が出せなかった場合は、工場試験の結果で代替できる

自家用電気工作物(原則50kW以上2,000kW未満)の場合

認められているのは工場試験の結果による代替のみです。第三者認証による省略の規定はありません。「認証品のパワーコンディショナーだから試験は不要」という理解は成り立たないため、注意してください。

50kW未満でも「自家用」になることがあります

区分を分けているのは電圧や出力そのものではなく、電気工作物としての位置づけです。出力が50kW未満であっても、構内で自家用電気工作物と接続している場合は自家用電気工作物に該当します。

たとえば高圧受電の工場構内に設置した40kWの自家消費型設備は、自家用電気工作物です。この場合、第三者認証による省略は使えません。自家消費型ではこのケースが多く、届出様式も異なるため、まず自社の設備がどちらの区分かを確認してください。

どちらの場合も、届出書には「現地試験・工場試験・その他記録のどれで確認したか」を記入する欄があります。認証書や試験成績書は事前に揃えておきましょう。

試験ができるのは、系統連系のあと

使用前自己確認は「使用を開始する前」に行うものですが、この使用開始とは、発電した電気を使い始める(売電・自家消費を開始する)ことを指します。系統連系のタイミングではありません。

負荷遮断試験は系統から切り離す試験なので、そもそも連系していなければ実施できません。順序としては、系統連系を済ませてから試験を行い、結果を届け出たうえで売電を開始する流れになります。

連系日から売電開始までのスケジュールには、天候待ちの余裕も含めて試験日を確保しておく必要があります。なお、届出前に使用を開始することはできません。

まとめ

負荷遮断試験のポイントは3つです。

  • 段階的に出力を上げながら遮断を繰り返し、波形を記録して確認する
  • 合格の条件は「電圧の変動が制限値内」と「安全に停止すること」
  • 現地試験を省略できる条件は、小規模事業用電気工作物と自家用電気工作物で異なる

天候待ちが発生することもあるため、連系日が決まったら早めに準備を始めることをおすすめします。試験の実施漏れや届出の不備は、売電開始の遅れに直結します。

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